相貌失認とは? 周囲の人の違和感とフォロー

相貌失認とは? 周囲の人の違和感とフォロー

「私、相貌失認なので人の顔が見分けがつかないんです。」

入社して2カ月目の部下の子が打ち明けてくれた。

相貌失認という言葉は覚えていなかったが、他人の顔を見ても区別がつかない人達がいることは知っていた。

詳しく聞くと、毎日顔を合わしているのに私の顔を見分けがつくようになったのは最近(2カ月目)らしい。

ただそれを聞いた時、今までずっと彼女に対して引っかかっていた違和感がスッと消えたきがした。

今回は私が相貌失認の方に感じた違和感、相貌失認と分かってからの接し方などを記事にしてみました。

相貌失認とは?

相貌失認とは人の顔の区別を認識できない症状です。

相貌失認でない人にとってはなかなか想像できない症状だと思いますが、例えるなら私たちが黒猫をなかなか見分けられないような症状に似ています。相貌失認の方にとって人の顔は似たように見えてしまい、顔のみだけでは個人を特定できません。症状が重い人になると家族の顔、自分の顔も見分けがつかない人がいます。

50人に1人いる相貌失認

相貌失認の割合は2%と言われています。50人に1人と考えると、意外と身近にいるものですね。

原因と対処法

相貌失認は先天性のものと後天性の2パターンがあります。

先天性のものは遺伝の可能性もあるそうなのですが、現在もはっきりとした原因は不明です。

後天性のものは、事故や病気などで顔を認識する脳の一部に機能障害が発生した際に相貌失認に至ります。

相貌失認の方は個人の判別を顔では認識しづらい為、声や、仕草、体形などで相手を判別します。眼鏡の有無、髪型など特徴的な箇所でも個人判別していますが、髪型を変えたり、眼鏡をコンタクトレンズに変えてしまうと個人の判別がしづらくなってしまいます。

ブラッドピットも相貌失認

アカデミー賞俳優のブラッドピットも相貌失認をカミングアウトしています。

カミングアウトした理由は、顔を覚えていないことで相手に失礼だと思われないようにとの配慮とのことですから、相貌失認の方にとって人間関係でのトラブルはつきものなのが容易に想像できます。

相貌失認の人と接した違和感

ここからは私が相貌失認の方と接していて感じた違和感や思ったことを纏めてみます。

後に相貌失認とカミングアウトされ、今まで感じていた違和感に納得を覚えることも多々ありました。

拒絶されているように感じる

始めは〝とっつきにくい人〟というイメージでした。

会話をしていても、何か警戒されているような感じでした。嫌われて拒絶されている感じを受けていました。

そう思ったのは私だけでなく、周りも同じ事を言っていました。中には、拒絶されていると思って、そのまま口をきかなくなってしまった人もいます。

私は拒絶されているなと思いつつも、仕事として割り切って教育係として変わらず接していましたが、、、正直、違う立場で出会っていたら早々に距離を置いていてしまっていたかもしれません。

同じ顔に見えてしまう世界

相貌失認の方、全員が内向的な性格ではないと思うのですが、、、、仮に自分が人の顔を判別出来ないとしたら、間違いなく人に身構えてしまうことでしょう。相手が誰だか分からないで会話するのは大変戸惑うでしょうし、探り探りの会話になってしまうのも仕方ありません。

入社間もない状況はただでさえ緊張して不安を感じてしまう環境ですが、相貌失認の方からしたら、その何倍もストレスやプレッシャーを感じていたと思います。

縮まらない距離感

普段〝とっつきにく人〟だと思っていても、何度かは話が盛り上がることがありました。

距離感が縮んでこれからは接しやすくなるだろうと思って期待して、次の朝、挨拶すると、また戸惑ったように無表情で挨拶が返ってきます。

毎回、縮まったと思った距離感がリセットされてしまう日々でした。

後に本人から聞いたのですが、私の顔を区別できるようになったのが2カ月経ってからだそうで、私と似たような体形の人がもう1人いた為、毎回、声を掛けられるまでどっちか判断できないでいたそうです。

あっちの部署だったら1日で辞めていた

彼女と話していたら、「あそこの部署に配属されていたら多分1日で辞めていました。」と言っていたことがあって、理由を聞いたら〝人数が多く、同じような体形の人が多いから〟と言っていたことがあります。

その時は、相貌失認のことを聞かされていなかったので、不思議な事を言う子だな、と違和感を覚えていました。

ただ相貌失認と分かってからは、その発言は非常に分かります。

彼女がそちらの部署に配属されていたら、誰だ誰だか覚えるまでに相当の時間を要したことでしょう。

相貌失認の方へのフォローの仕方

現在も相貌失認の彼女に対して何をしてあげるべきか、どのようなフォローが出来るか、日々、悩んでいます。

こちらから声を掛ける

彼女を見つけたら、早めに私から挨拶するようにしています。

相貌失認の方には表情を読めない方もいるのですが、彼女は人の表情は分かると言うので、なるべく笑顔で挨拶するようにしています。

未だに朝の挨拶は、身構えたような拒絶されているような返事が返ってくるので、彼女に会う3分くらい前から心のテンションを上げています。(普通のテンションでいって、そっけなくされてしまうと私のガラスのハートが粉々になるので笑)

仕事中も、なるべく声を掛けて話を振るようにしていますが、半分くらいはそっけない会話で終わってしまい私のガラスのハートは粉々になっています。その度に〝大丈夫、自分は拒絶されていない〟と心の中で100回くらい回復呪文をかけていますw

顔の特徴を伝えて見た

私の顔にあるホクロの位置を指さし、「もし顔が判別できなかったらこのホクロで自分と判断して。」と伝えてみました。

「突然、何、言ってるんですか」と呆れたように笑っていました。

相貌失認の人にとって、目や鼻、口などの顔のパーツパーツは知覚出来ています。それらの組み合わせを1つの顔として正しく認識するのが困難です。

そういった意味でホクロの位置で認識してもらおうと思ったのですが、冗談で言ったと思われたのか呆れられてしまいましたw

名札や腕章で区別する(未実施)

全員に名札や色違いの腕章をつけたら相貌失認の方には分かり易いと思います。

戦隊モノや、アイドルみたいに、それぞれのカラーを決めて腕章を。腕章が目立ちすぎるなら、どこか服装の目立たないワンポイントに印をつけるなど。

ただこれは、職場に相貌失認とカミングアウトして周りの理解が得られないと現実的ではないですね。

相貌失認の葛藤

「あなたのとこの新人は挨拶も碌に出来ないの?」と他部署の人からクレームが入ることがあります。

うちの部署の人間の方にも、彼女と微妙に距離を開けている人が数名います。

その都度、相貌失認というフレーズは一切出さずに、「すみません。人見知りの子なんです。根は良い子なんで良くしてやって下さい。」と弁解しています。

その度に〝相貌失認〟ということを説明して理解してもらった方が、彼女も誤解されずに、私もどんなに楽かと、葛藤することがあります。

ただ私以上に葛藤しているのは、彼女本人なのは間違いありません。

私に相貌失認の話を打ち明けてくれた時に、〝私、変わっている人なんです〟と言っていました。

彼女の変わっているという表現が適正かは分かりません。うちの子が一種の特性を持って産まれてきて、その特性で親とて苦労することもありました。人はそれぞれ違っています。私も含め全員が全員、個性的だと思っています。

〝私、変わっている人なんです。だから苦労してきてました〟と続けて言っていました。

正直、相貌失認でない私にとって、彼女の苦労がどれほどのものか、どれほどストレスを感じるのか想像もつきません。

〝私、友達いないんです〟

〝人の多い部署なら辞めていました〟

〝(私の)顔が判別出来るようになったの最近です〟

〝沢山、話しかけてくれて有難いです〟

〝時々、娘の顔を忘れてしまうんです〟

彼女の発した言葉の裏に、どのような経験や想いがあるのかは私に計りきることは出来ません。

誰もがそれぞれ個性があります。私の部署の人も私含め個性的な人だらけです。全員個性的です。それぞれの個性を活かして、それぞれの長所、短所を考慮して働いています。長所を最大限に発揮できるように、短所は周りがフォローするようにして私の部署は成り立っています。会社もそうですし、社会もそうです。

「あなたのとこの新人は挨拶も碌に出来ないの?」とクレームを入れて来た人も、相当に個性的です。その歯に衣着せぬ発言で周りと何度もトラブルを起こしています。その人や、私や、相貌失認の彼女や、全員の個性が混じりあって会社や社会は回っています。だから個性的という言葉はネガティブなワードでなく、ポジティブなワードと捉え、それぞれの個性を執拗に叩いたり否定することなく、多様性を尊重することを忘れないようにしたいです。これからも当ブログでそいういった個性的な特性を発信することで少しでも関心や共感する人が増えればブログ運営者として幸いです。

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それから、、、

相貌失認の記事を執筆してから、数週間経ちました。この記事に関しては反響が多くて驚いています。

彼女は今も、毎日一生懸命仕事を頑張っています。徐々にうちの職場の人と打ち解けていっています。

入社した当初は周りから話を振られても黙り込んでしまうことも多かったのですが、現在では自分から周りに声を掛けたりしています。

うちの職場の人も彼女が相貌失認と知っている人はいません。

事情を知っている私は彼女の頑張りにはただただ頭が下がる想いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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