最近はテレビや映画などで取り扱われることも増えてきたギフテッド。
しかしアスペルカー症候群=アスペや発達障害などが市民権を得てきたのと比べると、ギフテッドはまだまだ知名度が低いのが現状です。また、一般的な知名度だけでなく、日本ではギフテッドに関する教育や対応が他の先進国に比べると遅れています。
発達障害の子たちを対象にした療育などは徐々に広がりをみせてきてます。一方で、ギフテッドの子供たちの指導や、受けるべき教育、学校などの設立は後回しになっています。
中には‘’ギフテッドの子供たちに特別な教育は必要ない、教科書や参考書を渡しておけば自分たちで解決できる‘’と、考える人もいます。果たして本当にそうでしょうか?
世間ではまだまだ誤解が多いギフテッドについて定義や9つの特徴、問題点などを分かりやすく説明していきます。
ギフテッドとは?
ギフテッドの定義
ギフテッドとは、同世代の子供たちと比べ、特に優れた才能を生まれ持った人、を指します。
ギフテッドの子というのは、英才教育などの対外的な学習で作られるのはでなく、生まれた時からギフテッドということになります。
また、その才能は幼少期だけでなく、大人になっても続き、生涯続いていきます。
幼少期は天才、秀才扱いされていたのに大人になったら凡人になった、と言う話をたまに聞きますが、そういった人はギフテッドではなく、早熟タイプの子供だった可能性があります。
ギフテッドの語源
ギフテッドの語源はギフト=贈り物から来ています。
誰から何を贈り物されたのでしょうか?
それは「神様から生まれつき、人とは違う才能を授かった人」のことです。
そう言われると天才児や、何でも出来るスーパーマンを思い描く人もいると思いますが、実際は問題を抱えてるギフテッドも少なくありません。
うちの息子もその内の一人です。
(このブログでは いまだに誤解の多いギフテッドの実際の生活の様子を取り上げて、皆さんに少しでもギフテッドの実像を知ってもらえればと思い作成しました。)
とあるギフテッドの子の日常(かん太の暴力)はこちら ←
ギフテッドは勉強が得意?
神様から人とは違う才能を授かった人、と聞くと、なんだか勉強が出来て当たり前の様ですが、実際はどうでしょうか?
答えは半分正解で、半分間違っています。
ギフテッドの才能というのはIQや勉強だけでなく、美術の才能、音楽の才能なども当てはまるからです。
幼い頃から歌が上手で歌手になった人、誰に教わってもないのに絵が上手に書ける子などは実はギフテッドかもしれません。
美術、音楽などの芸術的な才能や、運動的な才能などを生まれ持った人たちのことをタレンテッドと呼ぶこともあります。
ギフテッドの判定の仕方は?
一番日本で使われている判定方法はウィスクⅣという知能=IQを調べる検査です。
測定できるIQは、言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度の4種類で、テストを受けると、その子の各項目のIQが数値として診断されます。
例: 言語理解105、知覚推理98、ワーキングメモリー110、処理速度120 総合IQ108
このように結果が出ます。100が平均値です。
IQ85~115の人が全体の約68%に相当、IQ70~130の人が全体の約95%に相当します。
また、IQの数値は同年代の子たちと比べての数値となる為、早熟タイプの子のIQは高くなる傾向がありギフテッドと間違って判定される可能性が指摘されています。
IQ150以上でギフテッドと判定された息子のウィスク4の記事はこちら ←
IQがいくつからギフテッドなの?ギフテッドの割合は?
明確な数値は決まっていませんが、おおよそ130前後でギフテッド診断されることが多いそうです。
ちなみにIQ130というと、上位から約2.3%になります。
100人に2人か、3人いると考えると、1学年に1人以上、小学校全体で考えると6人以上のギフテッドの子がいても不思議ではありません。
そう考えると意外と身近にいるもんですね。
ギフテッドの9つの特徴
実はギフテッドの明確の定義というものは ありません。
国によって「ギフテッド」の捉え方が違ったり、時代によっても「ギフテッド」の捉え方が変わったりしています。
ただし、それでも時代、国に関係なく共通する部分も多いので、今回はギフテッドの特徴について9個の例を挙げ、実際にギフテッドである息子のことを交えつつ説明したいと思います。
ギフテッドの特徴① 並外れた記憶力
ギフテッドの子は人並み以上の記憶力を持っています。
息子は小学校1年生の時に、6年生で習う漢字を読めるようになっていました。教科書の音読の宿題は暗記しているので、教科書を見ずに音読します。
【弊害】記憶力が優れているということは、羨ましいように思えるのですが、実は良いことばかりではありません。
人は「覚える必要があること、覚える必要がないこと、を無意識に選択し 覚えないでよいことは頭の中から忘れていきます。」しかし、人並み以上に記憶力が良いと その日にあったこと、学んだことを全て脳が覚えようとしてしまいオーバーワークになることがあります。
息子のワーキングメモリはIQ147と高いのですが、その弊害が夜、寝る前に現れることがあります。
寝ようとすると、その日に起きたことがグルグルと頭を回り、眠りにつけない日があります。「目をつぶると目の前に数字が飛び交うので寝れない。」と訴えることもあります。
別の日には、布団の中でゴニョゴニョと呟いているので、内容を聞いてみると、その日にあった出来事を詳細に再現し、なおかつ何故、そのような出来事が起きたか、などを自分の考えを説明しながら呟いていました。
例えば その日見たアンパンマンの内容を始めから再現し、なぜアンパンマンはバイキンマンをやっつけるのか?など独自の解説を加えながらゴニョゴニョ言っていました。
ギフテッドの特徴② 新しいことを学ぶのが早い
飲み込みが早いので次々と新しいことを吸収していきます。
東大生の出る番組の紹介エピソードで、ギフテッドの東大生が小学校低学年で高校の学習内容をしていた。と、言っていました。
公文では他の子の進捗度が見れるのですが、全国には小学校低学年で高校のレベルを勉強しているような子が何人かいます。
ギフテッドの特徴3 語彙が多い
同年代の子と比べると語彙が多いのもギフテッドの特徴の一つです。
【弊害】この特徴もメリットばかりではなく、同年代の子供たちと会話が成り立たない。という危険性もあります。その為、ギフテッドの子は、同じ歳の子より大人との会話を好みます。
うちの子は、「学校では周りの知らないことは話さない。」と自分でルールを決めて過ごしています。
本が好きで、知らない言葉が出てくると意味を聞いてきます。(あるいは辞書やタブレットで意味を調べてます。)
ギフテッドの子は読書が好きなのも特徴の一つであり、読書好き&並外れた暗記力で次々と語彙を覚えていきます。
ギフテッドの特徴④ 探究心、好奇心が強い
ギフテッドの子は探究心が強く‘あらゆることを知りたがります’
息子の場合、言葉を覚え始めの頃は、日常会話はほとんどなく、息子の何故?何故?ばかりの会話でした。
パパ「幼稚園楽しかった?」
息子「0より小さい数字ってあるの?」
パパ「マイナス1とか、マイナス2って数字あるよ。幼稚園楽しい?」
息子「X,とかYとか数字見たんだけど、何?」
パパ「正体の分からない数字だよ。X+Y=5でX-Y=2なら、Xは3、Yは2だよ。」
喋れるようになってからは、上記のような内容の会話ばかりでした。息子は知識をどんどん吸収していきますが、パパには何の情報も教えてくれませんでしたw
またテレビで「人間は猿から進化した。」という話しを見たとき
息子「じゃぁ、猿は何から進化したの?」
パパ「(グーグルで調べて)哺乳類の先祖はねずみ みたいものだよ。」
息子「じゃぁ、この世界で初めて生まれた生き物は何から進化したの?」
パパ「(グーグルで調べて)海とマグマと雷と、、、、。奇跡的に、、。」
息子「なんで無から生き物が生まれるの?なんでなの?」
こんな感じで、永遠に何故?何故?が続きます。
エジソンは学校の先生に「何故?何故?」と質問ばかりし、先生に煙たがられ追放された、という逸話があります。
現代では、何故?何故?という質問にはインターネットで大概のことが調べられるので、現代のギフテッドは探究心が満たされやすい状況です。
ギフテッドの特徴⑤ 集中力が高い
興味のあることを始めると、そのことに没頭し周りが見えなくなります。また、その集中力が途中で切れることなく長時間続きます。
息子の場合も、ゲームや読書に夢中になると、いくら呼んでも返事をしません。
今までは勉学、IQに関係する特徴でしたが、次からは生まれ持っての性格についての特徴です。
ギフテッドの特徴⑥ 責任感が強い
ギフテッドの子は責任感が強くルールを破ることを嫌います。
先生が「廊下を走ってはいけない!」と言えば、目の前で誰かが走っていれば注意します。
道徳的には 悪いことをしている人を注意するのは良いことなのですが、社会的にはそのせいで 周りから生意気だと思われたり、嫌われたりする危険性もあります。
ギフテッドの特徴⑦ 完璧主義
ギフテッドの子の大きな特徴の一つが、完璧主義(&負けず嫌い)です。
これは息子を見ていて不思議なのですが、生まれつきの完璧主義です。
物事がなんでもスムーズに出来るので後天的に完璧主義、負けず嫌いになる。と、いうことではありません。
もの心ついた時から、勝負事で負けると大騒ぎし、小さなミスがあると激昂します。
ギフテッドの特徴⑧ 感情の差が激しい
ギフテッドは感情が豊かなのも特徴です。
一つの小さなミスで泣いたり、怒ったりします。逆にささいな事でも嬉しく楽しく思います。
ギフテッドの特徴⑨ バイタリティーに溢れている
ギフテッドの子はバイタリティーに溢れています。
ギフテッド特有の探究心が身体を動かすのか、並外れた集中力が原動力か分かりませんが、常に全力で物事に挑み、新しいことにチャレンジします。(その一方、自分が興味ないことについては とことん興味が湧きません。)
ギフテッドの特徴 まとめ
ギフテッドの9つの特徴。
ギフテッドの特徴① 並外れた記憶力
ギフテッドの特徴② 新しいことを学ぶのが早い
ギフテッドの特徴③ 語彙が多い
ギフテッドの特徴④ 探究心、好奇心が強い
ギフテッドの特徴⑤ 集中力が高い
ギフテッドの特徴⑥ 責任感が強い
ギフテッドの特徴⑦ 完璧主義
ギフテッドの特徴⑧ 感情の差が激しい
ギフテッドの特徴⑨ バイタリティーに溢れている
今回、取り上げた9つの特徴は長所でもあり、短所でもあります。
言い方を換えると、9つの特徴の全ては 長所にもなりうるし短所にもなり得ます。それを長所にするのか、短所にするかは、周り次第。特に親の接し方しだいです。
その為には 子供の主張には些細なことでも耳を傾け、愛情を分かりやすく表現し、親が子供の失敗を恐れずに新しいことにどんどんチャレンジさせてあげることが必要です。
ギフテッドの子の才能を活かすか潰してしまうかは親にかかっています。
取り上げた9つの特徴を全て持っている息子の抱えた闇 かん太の暴力はこちら ←
取り上げた9つの特徴を全て持っている息子のウィスク4の結果はこちら ←
ギフテッド特有の問題点
IQが高く、優れた才能を持っているのならば、良いことはあっても問題点はないように思えます。
また世の中には実際にそう考える人がいます。
しかしながら多くのギフテッドは、ギフテッド特有の問題点を抱えてることがあります。
自分自身の知能年齢と身体年齢とのギャップ
知能が高く、同年代の子よりも社会や世の中のルールを早く覚えます。しかしながら、身体年齢は同年代の子と変わらないので、感情のコントロールが伴わないことがあります。
人を叩いてはいけない、と頭では分かっていても、友達とケンカすると、感情が抑えられずに叩いてしまい、やってはいけないことをしてしまったと自己嫌悪に陥るなど。
自分の知能指数と同年代の知能指数のギャップ
IQが20違うと会話が成り立たない、と言われることがありますが、ギフテッドの子たちはクラスで孤立してしまうことがあります。
落ちこぼれ、という言葉がありますが、浮きこぼれと言う言葉は聞いたことありますか?
浮きこぼれ(吹きこぼれ、とも言います。)とは、落ちこぼれの対義語の教育言葉で、学力が高く授業が物足りなくなったり、実際に周りの生徒に疎外されることを言います。
アメリカではそういった問題を進級制度、ギフテッドの子ばかりを集めたクラスを編成するなどのギフテッド教育で解決しようとしています。
平等、平均主義を望む日本ではそういった教育は遅れていましたが、2017年に東京都渋谷区で全国初のギフテッド教育が開始されました。
完全主義
ギフテッドの子供たちは完全主義、負けず嫌いです。
才能のある得意分野では、周りと比べ著しく上手く出来てしまう為、完全主義が強くなっていく傾向があります。
今後のギフテッド教育
遅蒔きながら、2017年から開始された日本でのギフテッド教育。
東京渋谷区で歩みだした一歩が今後も、継続し、歩みが止まることのないようにと思っています。
ギフテッドへの誤解がなくなり、ギフテッド教育の発展を願っています。
ご覧頂きありがとうございます。
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